ちょっといいもの-映画好き?
「GO」の感想

 すごい考えさせられる映画だった。正直見る前は期待してなかったし、「窪塚ファンしか楽しめねーだろ(笑)」ってちょっと馬鹿にしてたんだけど、全然そんなことなかったよ。

 予備知識もなく行ってしまったので、在日の問題とか全然普段意識してなかったことをずばずばつかれて、いろいろと考えさせられた。特に「血がきたない」っていうセリフは衝撃的だったよ。あと「怖いからレッテルを張るんだろ」ってのも。

 国籍なんて僕もどうでもいいと思う。でもこういう差別問題が厳然としてあるのは事実。僕は新しい世代だし、外国人の友達もいるからそういう差別意識ってないと思ってるけど、もっと上の世代ならあるだろうし、韓国での反日感情ってまだまだ強いしね。

 僕は昔から差別問題にとても興味があって、修士論文でもその関係から黒人の演劇について書いたんだけど、差別って言うのは誰の心にも多かれ少なかれあると思う。その基準をどこにとるかは人それぞれ違うけど、人種とか国籍とかまで行かなくても、例えば頭のよさとか容姿とかでもやっぱり自分と人と比べて、その中で優越感を感じたりすることって、誰でも普通にあると思うし。

 でも重要なのは、それを出すか出さないかじゃないかなあ。だってかっこ悪くない?差別って、自分の劣等感の裏返しだし、する方もされる方もいい気持ちしないしね。しかもその基準を国籍とかに置くのって、ほんとうにくだらないよ。

 僕はアメリカ文学を勉強してることもあって、つい目線がアメリカとかにいっちゃうけど、アジアとか日本のこととかももっともっと勉強しないとなあって思う。原作もすごい読んでみたいしね。

 個人的な好みをいうと、ああいうストーリーにいまいち流れがないのは好きじゃないし、結局恋愛関係でハッピーエンドになるのも気に食わないけど、笑える部分とか青春のさわやかさとかをうまく使って、しかも深刻な問題を考えさせるっていうのもうまくできてて面白かったよ。特に気に入ったのは最後、雪が降ってきた時に「あー、やっちゃったー」って思ったのね、あまりにもべただから。それを逆にとって桜井のセリフでおしゃれに切り返してるのが、ほんとうまかった。ああいうしゃれたセリフはすごいいいね。

 期待しなかったのが逆によかったのかもしれないけど、窪塚映画って思った僕がおろかでした。反省も込めて、星4つあげちゃおう。