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がんばれ大学受験生-1文英文読解!
解説(12/10)

<解説>

 今回は上智大学の文学部の読解問題からの抜粋です。教育を経済的視点から考えた文章で、かなり難しい文章ですから、教育学部や文学部を受験する人は、全文読んでおきましょう。

 今回のポイントは比較です。見抜けましたか?

 比較の場合、1.何と何が比較されているか(AとBとします) 2.どういう基準で比較されているか(形容詞や副詞などです) 3.AとBどちらが上か下か、あるいは同じなのか? の3つを考えるのが基本です。訳せといわれなければ、この3つさえ分かれば問題ありません。

 今回は比較級のwiderがあるので○で囲み、thanがあるのでは?と意識しながら後ろを読んでいきます。カンマとカンマで囲まれている部分を挿入と考え、その中にももう1つ比較級のmoreもありますので、それも○で囲みます。カンマが終わるとやはりthanがありましたので、それも○で囲みます。比較対象のBは必ずthan以下ですから今回はrestructuringです。AはBと同じ比較対象でなければなりませんので、Sのtermです。

 そして今回最大のポイントは、文頭のNoです。まず、more 〜 thanやas(so) 〜 asの前に否定語があると、Bが上になります。例えばA is more beautiful than B.は、もちろん「A>B(基準はbeautiful)」ですが、A is not more beautiful than B.となるとBが上になり「A<B(基準はbeautiful)」になります。

 しかも今回はBがAのカテゴリーの中に入っています。その場合は、Bが一番上になります。例えばNo other mountain is higher than Mt. Fuji.は、富士山が山の1つですから、富士山が一番高い山になります。Nothing is more precious than health.も同じパターンです。

 restructuringは、イタリックになっていることからも分かるように用語(term)の1つですから、一番上になります。なのでこの文は、「restructuringが最もwideで、最もpoorly understoodなんだな」と考えればいいのです。もっとしっかり内容を取るならば、「リストラという言葉が最も教育で最も広く広まり、最も不十分な理解をされている」となります。これで十分文意は分かります。

 ただし訳の場合は、No termがSなので、それを踏まえて訳す必要があります。英語は面白いもので、否定語を前に出す傾向があります。それに対して日本語は、否定語を後に置く傾向があります。「私は彼が無実じゃないと思う」を英語で言うと、そのまま訳した形のI think that he is not innocent.は不自然で、I don't think he is innocent.が自然になるのが、その例です。英語の場合No+名詞やNothingがSになるのです。そのまま日本語にしたら「何もない〜が」や「何もないものが」となり、意味が分かりません。そのため、No 〜の場合は「どんな〜も・・・ない」と、Nothingの場合は「どんなものも・・・ない」と訳しましょう。この文の場合は、「どんな言葉もリストラほど・・・でない」となります。

 今までが比較の基本です。まずは文法の問題集にあるような基本的な文でポイントを固め、その後は文章の中に出てくる比較を使ったもっと難しい文に出会った時に、その基本を生かしましょう。


<マーク>


<訳>

 「どんな言葉も、リストラという言葉ほど教育において広まっているのに、不十分な理解しかされていない言葉はない。」


<語句>

 ・term「@期間、学期 A条件 B言葉、専門用語」(超重要多義語なので、しっかりと覚えよう) ・currency「@貨幣、流通 A流布、普及」 ・restructuring「再構築、再編成、リストラ」